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ジャスティIIIの特長と導入にあたって 第3世代根管長測定器ジャスティIIIの臨床における活用 牛窪敏博
 
●はじめに
本年新たに開発されたジャスティIIIは、今までのコンセプトを払拭するデザインと機能性を有する根管長測定器であり、使用感もよく今後の根管治療の臨床において必須アイテムとなるであろう。そこで今回その特徴と新たに導入するにあたっての注意事項を解説したいと思います。
 
●コンセプト及び特長
ジャスティIIIは単なる根管長測定器だけではなく、チェアーユニットのテーブルの上に置いても恐怖感を与えないオシャレな箱をイメージしているため、あらゆるドクターの空間コンセプトを揺るがすことはなく自由に設置することができ、必要な時にだけ本来の機能を発揮する器機として使用できる。
これまでの根管長測定器の欠点である、「根尖孔部までの正確な距離を測定できなかった」という点において本器機は革新的に飛躍しており、かなりストレスフリーになっていると思われる。他社製品に多く見られるいわゆる相対値の割り算の対数を用いて測定値を計測する方法では根尖手前の位置と根尖孔検出精度を向上させることは難しく、実際使用中に急激に測定表示が大きく振れたり、わずかなファイル操作で根尖指示値を超えてしまうことがあった。新たに開発されたこのジャスティIIIでは、根管口から根尖孔に至る電流値の変動が大きく3つのパターンに分かれるということをもとにして、推測測定値と実測測定値を補正しながら測定を行う装置である。この3つのパターンとは、根管の太さ、長さ、根管内成分であり、これらのインピーダンスを用いて測定データと基準値を比較して次に表示する数値の予測補正を繰り返し、根尖孔部までの距離を正確に計測している。また、根管上部や閉鎖根管では、オートアジャスト機構が作用せず表示できないということも軽減されている。
使用しない時の外観は小物入れのようで、ファイルホルダーと口角クランプを取り外すと本体からのコード類もスッキリ収納ができる。使用時には、その可倒式液晶パネル部分を調整し、術者の任意の位置でデジタル表示を確認できるようになっており、診療室の照明の影響も配慮されている。電源のON,OFFもオートで、治療の途中で何度も電源の入れ直しを行なう必要がなく、バッテリーの消耗にも貢献している。表示画面は2つのパターンがあり、根尖から遠い位置にある時の画面とメーター指示値が2.5になると拡大画面に切り替わり、実際の根尖までの距離をほぼ示している。
 
●使用にあたって
治療前に点検を行い(ファイルホルダーにファイルを接続し、そのファイルと口角クランプを接触させメーター指示値がApexの位置を示すかの確認)、無菌処置のためのラバーダム防湿を行い、患歯を充分乾燥させ絶縁をよくしておくことが誤作動を防ぐことになる。電解液として次亜塩素酸ソーダを使用するが、根管口部より少し下部になるぐらいにし、歯肉への通電を防ぐことが必要である。作業長の決定は、拡大画面の0.5の位置で行うが、根尖部の大きさによりイニシャルファイルサイズが大きい場合は1.0 の位置で決定する。再治療のケースでの根尖部付近のガッターパーチャーの取り残しは絶縁状態であり、正確に根管長が測定できないので注意する。また、ファイルホルダーのトップの角度は新品では鋭角になっておりファイルに接続しにくいので、少し鈍角に曲げておくと使いやすい。
 
●おわりに
患者様から信頼される根管治療を心がける為にも、安心できる治療器機を選ぶべきであり、このジャスティIIIもその一つであろう。ただ作業長決定には、少なくとも2つの方法を取るべきでありデジタルレントゲンでの評価も参考にする必要がある。
 
 
図1_コード類も裏側みスッキリ格納可能。治療中も術者の任意のポジションで液晶パネルを確認できる。   図2_私は新しい器材等を使用する際には必ず、臨床応用の前に抜去歯牙で、このように練習を行う必要があると考えている。
 
図3_抜去歯牙の近遠心方向からのレントゲン写真。   図4_同歯牙の頬舌方向からのレントゲン写真。
 
図5_イニシャルファイル挿入時の近遠心方向のレントゲン写真。   図6_根管充填後(シングルウェーブテクニック)の近遠心方向のレントゲン写真。
 
図7_ファイルホルダーのトップ部の拡大写真。左が新品の状態で、右が臨床に使用する場合のトップを示しており、少し鈍角に曲げているのがわかる。   図8_一見簡単そうに見えるケースであるが、根管が開かないとのことで紹介された患者さんのレントゲン写真。
義歯6┓で近遠心に及ぶ根尖病変が認められ、近心根には歯髄腔が見える。マイクロスコープ下にて根管内を探索したところ、オリジナルの根管は、間違った方向に形成された根管のデブリスと貼薬剤によって隠されており、目詰まりの状態であった。
 
図9_実際の症例の臨床写真(作業長測定)   図10_根管充填前にサリーを使用することで、洗浄効果及び効率が上がる。
 
図11_作業長測定時のレントゲン写真。イニシャルファイルが挿入されている。根管長測定器とレントゲン写真のダブルチェックを必ず行う。   図12_同症例の根管充填後のレントゲン写真。システムBを用いたシングルウェーブテクニックにて根管充填を行った。