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より快適な歯内療法を実現するために 喜多詰 規雄
 
今回ジャスティV(図1)が発売され、まず今までの根管長測定器の固定観念からかけ離れた外観が第一印象でしたが、機能的にはそれ以上の、根尖孔との距離が表示される、今までになかった機能が加わりました。それに伴い根尖孔の検出精度も従来タイプの根管長測定器よりも、向上していると感じられます。しかしながらジャスティVも魔法の箱ではありません。やはり器械の特性を理解した活用が必要と考えられます。
 
●根管内と歯肉の漏電を起こさないように測定を行うポイント
1. ジャスティVでは「オキシドール」が洗浄液として使用可能である。そこで漏電のことを考えると、洗浄液は「生食や次亜塩素酸ナトリウム」よりも導電性の低い「オキシドール」がよいと考えられる。
2. クラウンは原則的に外して、根管治療を行う。しかしながらどうしても外せない場合は絶縁材としてフロアブルレジンを塗布する。
3. 歯冠部が崩壊し、歯肉の一部がう窩に接触し漏電しやすくなっている時は隔壁を行う(図2)。
 隔壁というと、時間がかかると感じる方がいるかもしれませんが、私はアイオノジット(図3)を使用することにより、日常臨床において簡便に隔壁をしております。
アイオノジットは光重合タイプの裏装用レジン強化型アイオノマーですが、すぐれた形態付与性・隔壁材としての十分な強度を有しており、ボンディング材無しで歯質に接着性を有します。しかしながらラバーダムクランプを掛ける等、強い力が掛かるときはボンディング材を併用することにより、さらに強固な接着力が得られます。
 
●簡便に隔壁を行うポイント
1. 通法どおり軟化象牙質除去・根管口明示を行う(図45)。
2. ボンディング材を使用するときには、根管口にボンディング材が流れ込んでしまうとその後の処置が困難になります。従来はストッピングやオブチュレーションガッタ等を使用しておりましたが、付形性に難点がありましたので、現在ではシリコン含有の水酸化カルシウム系歯科根管充填材料をブロックアウト材として使用しています(図6)。付形性がよく最低限の範囲のブロックアウトが可能であり、隔壁時の歯質に対する接着面積を最大に取ることが出来ます。
3. ボンディング材(図7)の使用方法通りに、歯面処理を行う。この時、ブロックアウト材はシリコンを含有しているため水洗しても流れず、またエアーブローでも変形しづらい物性を有します(図8910)。
4. アイオノジットを盛り上げていきます。アイオノジットは優れた付形性を有するため、マトリックスバンド等を使わなくとも、隔壁を行うことが出来ます。一回に盛り上げる量はアイオノジットのシリンジの先端径程度の太さ(約1mm)が適当であり、足りなければ光照射後に追加築成します。またアイオノジットは歯質への濡れも良いので、その他のインスツルメントは必要ありません(図111213)。
5. ブロックアウト材を除去しますが、探針等で容易に除去できます(図14)。
 
●まとめ
このように書きますと時間が掛かりそうですが、数分で出来る作業です。是非一度お試しください。この作業を追加することによって根管長測定ばかりでなく、歯内療法全般にわたり快適な診療が出来ることと思います。
 
図1_歯科用根管長測定器『ジャスティIII』   図2
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図3_光重合型コンポマー裏装材『アイオノジット ベースライナーZN』   図4_術前
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図5_ウ窩処置   図6_シリコン含有水酸化カルシウム系歯科根管充填材にてブロックアウト
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図7_歯科用コンポジット用接着材料『ワンコートボンド』   図8_エッチング
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図9_ボンディング材塗布   図10_ボンディング照射
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図11_アイオノジットにて盛り上げ   図12_光重合
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図13_照射後   図14