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より快適な歯内療法を実現するために 喜多詰 規雄
 
●根管長測定時はKファイルを使う
根管治療とは、根管内の起炎因子の徹底的な除去を行うことと生体為害性の少ない根管充?材を使用して根管系の緊密な閉塞を行うことです。 
まず治療で最初に行うことは正確な根管長の測定です。これは基準点から生理学的根尖孔(根尖孔の最狭窄部であるセメントー象牙質境界部)までの長さの測定を言います。この時使用する器具は# 15 Kファイルを基準としていますが、根尖孔の大きさに合わせて適宜適切な番手の選択を行います。刃の鋭いHファイルやトリプルファイルは根管壁へ刃が食い込み、根管内壁の様子が探りにくいといえます。実際、根管内や根尖孔といったデリケートな部分の診査診断を触診に頼って探っている訳ですから、刃に鋭さがあると切削してしまったり、その削片や汚染物を根尖孔外に押し出しやすいといった偶発的事故に繋がる恐れがあります。こうしたマイナスの要素がいくつか積み重なることが根尖孔の破壊に繋がることにもなりますので、私は安全性という点で特にKファイルを推奨しています。測定には根管長測定器だけでなく手指の感覚や作業を確認するためのX-Rayなどいずれも重要であり、3者を駆使することでより正確な根管長が測定できます。Kファイルは刃が鋭くないため、根管内の診査・診断だけではなく、根管拡大形成時に役立つ情報も得ることができます。湾曲根管においては事前にKファイルにプレカーブを付与し、根管のさまざまな方向に挿入しながら根管の湾曲形態を三次元的に診査します。感染根管の場合は既に根管拡大がされているため、根管内でファイルが遊び、ファイルの中央や先端が変形しやすいという難しさがあります。そのため対応策としてファイルの加工など、根管の状況に合わせた工夫や配慮が必要となります。
 
●臨床での根管長測定と注意点
実際の根管長測定ではまず# 15 Kファイルを使用し、手指の感覚を用いた触診により生理学的根尖孔の位置を診断し測定します。そして# 15 Kファイルを4〜5 oのラスピング操作により根尖方向孔手前1oの位置まで進めていきますが、触診時の抵抗の有無、度合いによって判断します。Kファイルの抵抗感の強弱によりファイルサイズを# 10に下げるのか、# 20に上げるのか決定します。
ファイルの先端に抵抗感がなくコツコツした石灰化様の感じでファイルが進んで行かない場合の殆どは、ファイルの先端が根管の湾曲に追従できず、外湾曲壁にぶつかっている状態と考えられます。そのままつついているとファイルの先端は根管から逸脱し、レッジや穿孔の危険性が出てきます。そこで、対応策としてファイルの先端にプレカーブを付与し、9 0゜ずつファイルの挿入方向を変えながら根管の湾曲方向を診断します。この2つの操作法によりKファイルを根尖方向へ進めて行き、根尖孔付近での手指による抵抗感の位置をここで確認するために『ジャスティ3』を接続し、必要があればファイルの先端の位置を微調整し、最終的根管長を決定します。
その後根管拡大形成に移行しますが、オリジナルな根管の形態に合わせて形成することが重要です。しかし根管拡大形成を行うと根管は直線化されやすいので、根管拡大形成の途中でも再度根管長の確認は必要です。このように歯内療法における根管長測定器の役割は
大きく、使い勝手のよい信頼性の高い製品が特に望まれます。
 
●参考文献
平井順、高橋慶壮著 臨床歯内療法学 クインテッセンス出版2005
 
図1_根管長とは「生理学的根尖孔までの長さを測定すること」を理解する。   図2_根管形成の際、根管を3分割するのではなく、2分割することで根管本来の形態を保つよう心がけている。
(平井順/高橋慶壮著 臨床歯内療法学 クインテッセンス出版 P96 図6-30より転載)   (図2・3 平成14年度日本歯科医師会生涯研修ライブラリーNo.243平井順より転載)
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図3_根管長測定時や根管形成時において、Kファイルのねじれ角度による回転トルクのコントロールを行い、根管からの逸脱を防ぐ。   図4_術前。近心・遠心根尖部および分岐部に透過像を認める。
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図5_偏心撮影により根尖の位置の確認およびテストファイルにて根管長を測定する。   図6_ジャスティIII
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図7_あらかじめコンピュレイ画像上で根管長を測定し、レントゲン・根管長測定器・手指の感覚の3者を駆使して根管長を決定する。   図8_根管充填時。擬似3Dにて根尖部の確実な閉塞の確認をする。
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図9_近心2根管、遠心1根管の根管充填終了時。   図10_術後経過。近・遠心根尖部の透過像は消失している。
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図11_術前・術後の比較レントゲン(コンピュレイ画像)   図12_研修会風景。現在ジャスティVを実習に取り入れている。
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